中医学とは

中医学は古代中国で生まれ、長い年月をかけて体系化されてきた伝統医学です。
人の体を自然の一部としてとらえ、季節や環境、体質、心身の状態などを合わせて見ながら、健やかさを保つ知恵として受け継がれてきました。
古くから病気そのものだけでなく「なぜその不調が起きているのか」「どのように整えていくとよいのか」を考え、漢方薬や鍼灸、食事や生活の養生などとともに現在も発展し続けています。

中医学は身体に表れている症状だけでなく、その背景にある体質や暮らし、季節、心と体の状態を合わせて見ていく考え方です。

西洋医学が検査や診断によって病気を見つけ、必要な治療を行うことを得意としているのに対し、中医学は、今ある不調が「どのような体質や生活の流れの中で起きているのか」を見ていきます。

つまり中医学は、不調をひとつの症状として切り離して見るのではなく、その人全体の状態を見ながら、整え方を考えていく医学です。

中医学の3つの特徴

整体観

整体観(せいたいかん)バランス医学

人の体は、心や暮らし、季節や自然と切り離せないものとして考えます。
体の中だけでなく、外から受ける影響や全体のつながりを見ながら、崩れたバランスを整えていきます。

弁証論治

弁証論治(べんしょうろんち)オーダーメイド医学

同じ症状でも、原因や体質は人によって異なります。
その方の体質や症状の出方、暮らしの様子を丁寧に見立てながら、一人ひとりに合った整え方を考えていきます。

未病先防

未病先防(みびょうせんぼう)予防医学

病気になる前の小さな不調や体のゆらぎに目を向け、早めに整えていく考え方です。
日々の養生を通して、大きく崩れにくい健やかな体づくりを大切にします。

中医学と漢方

日本では、生薬を用いた体の整え方を広く「漢方」と呼びます。
その漢方は、古く中国から伝わった伝統医学をもとに、日本の風土や暮らしに合わせて独自に発展してきた医学です。

古く中国から伝わった伝統医学は、日本で独自に発展し、「漢方」として受け継がれてきました。
一方中国では、時代ごとに理論や治療法が積み重ねられ、現在の「中医学」として体系化されています。

中医学には、体の状態を読み解くための基本となる考え方があります。
その代表的なものが「気・血・水」や「五行説」です。

気・血・水(き・けつ・すい)

気・血・水(き・けつ・すい)

「気・血・水」は、身体の状態を知るための“ものさし”です。

「気」は生命活動を支えるエネルギー
「血」は全身を巡り、身体と心を養う栄養
「水」は身体を潤し、体液の巡りを支える水分

この3つの要素が過不足なく、スムーズに巡っている状態が、健やかな毎日を維持するための目安とされます。

どれかが不足したり、巡りが滞ったりしてバランスが崩れると、疲れやすさ(気の不足)、肩こり(血の滞り)、むくみ(水の滞り)など、様々な不調につながると考えられています。

五行説(ごぎょうせつ)

五行説(ごぎょうせつ)

中医学には、自然界や人の体にある「つながり」や「バランス」を読み解くための、さまざまな考え方があります。
そのひとつが、「五行説(ごぎょうせつ)」です。
五行説では、自然界にあるさまざまなものを「木・火・土・金・水(もっかどこんすい)」の5つのグループ(五行)に分け、それぞれが関係し合いながらバランスを保っていると考えます。

中医学では、この考え方を人の体にも取り入れています。
体の働きを「肝・心・脾・肺・腎」という5つのまとまりで捉え、これを「五臓」と呼びます。
五行にはそれぞれ五臓や季節が関連づけられており、お互いの関係から「助け合い、生み出し合う関係(相生)」と「抑え合い、バランスを取る関係(相克)」の2つがあると考えられています。
たとえば「木が燃えると火が生まれ、火が燃え尽きると灰となって土に還る」というように、ひとつの要素が次の要素を育てていく流れが「相生」です。
一方で「木が土から養分を奪うように、ある要素が別の要素の働きを抑える関係」もあり、これが「相克」です。
このアクセルとブレーキのような2つの働きがバランスよく機能することで、五行全体、そして体の五臓もまた、健やかな状態を保っていると考えられています。

木=肝(胆)=春
火=心(小腸)=夏
土=脾(胃)=長夏(梅雨・夏土用)
金=肺(大腸)=秋
水=腎(膀胱)=冬

たとえば秋は「金」に属し、「肺」と深い関わりがあります。
中医学では、肺は呼吸を司るだけでなく、皮膚や鼻・喉とも関係し、さらに肺と表裏の関係にある大腸とも深く関わると考えられています。
そのため空気が乾燥する秋には、咳や喉の乾燥などの呼吸器症状だけでなく、肌や鼻・喉のカサつき・便秘など、乾燥による様々な不調が気になる、といった形です。

このように五行説は、自然界の変化と人の体の働きを関連づけ、そのつながりから体の状態を捉えていく、中医学の特徴的な考え方のひとつとなります。
このようなつながりを読み解くことで、「今、体のどこに負担がかかっているのか」「どのようなバランスが崩れているのか」が見えてくることがあります。

こうした自然と体のつながりを知ることは、不調と向き合うための、ひとつのヒントになるかもしれません。

中医学の考え方を知ると、今ある不調を少し違った視点から見つめることができます。

KAN薬舗は、症状だけでなく体質や暮らしの背景にも目を向けながら、その方に合った漢方や日々の養生をご提案しています。
小さな不調でも、気になることがありましたらお気軽にご相談ください。